社会不安障害は、うつ病やアルコール依存症と合併しやすいことが知られています。
米国において1992年に行われた大規模な調査では、社会不安障害の33.8%にうつ病との合併、18.8%にアルコール依存症との合併、13.0%に薬物依存症との合併が見られました。
また、うつ病の10.5%には、社会不安障害が合併していることがわかりました。
さらに、うつ病になった人の社会不安障害の生涯有病率(一生のうちに社会不安障害にかかる割合)は、19.5%という結果も出ています。
いずれの合併においても、まず社会不安障害が若い時期に現れ、やがて、うつ病などと合併するケースが多いようです。
この理由については、社会不安障害により、仕事が上手くいかなかったり、人間関係が上手くいかなかったり、行動範囲が非常に狭くなったり、自分が苦手な事を回避したりするうちに、うつ病などと合併してしまうためと考えられています。
さらに深刻なのは、社会不安障害にうつ病などが合併すると、自殺企図が急激にアップすることです。
米国の調査によれば、社会不安障害単独の自殺企図が0.9%であるのに対して、うつ病やアルコール依存症が合併すると15.7%にまで上昇することが判明しています。
社会不安障害の社会的な認知度はまだまだ低く、うつ病やアルコール依存症が合併してから医療機関を受診するケースが多くあるようで、自殺防止のためにも社会不安障害の理解が早く社会に浸透するとよいと思います。